最近では「モツレク」などと略して言われてしまいますが、私はモーツァルト:レクイエムを良く聴きます。
良く聴くのは1971年録音のカール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー盤と1961年録音のヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー盤です。
特にカラヤン盤は中学生時代に初めて聴いたレクイエムという事も有り特に印象深いのです。
購入したのは国内盤でしたが、当時流行のセパレート・ステレオで夢中になって聴いていました。
高校生から大学生になった頃にはLUXMAN SQ-38FD + Technics SL-1200(SHURE-V15Type3 + DIATONE DS-251MK2で音楽を聴いていましたが、聴きすぎた事もあり盤の劣化が酷くなり初めてDGGの輸入盤を購入しました。
確かに国内盤よりも音は明瞭でしたが、当時の輸入盤は盤面が汚くノイズも多くて・・・。
上のジャケット3種類とも1961年録音のカラヤン指揮モーツァルト:レクイエムですが、左から国内盤、DGGの輸入盤、そしてVinyl Pasion Classicalの輸入盤です。
それから30年も経ち、たまたま見つけた同レコードVinyl Pasion Classical のリマスタリング盤、しかも2枚組。早速仕入れて聴きましたが素晴らしいです。
ジャケットはオリジナルとは異なりますが、それは国内盤も同様でした。
Vinyl PasionはClassicalだけでなくジャズやポピュラーなども複刻させている文字通りレコードに情熱を持った会社で、しかもMusic On Vinylと同じオランダの会社です。
オランダば、ソニーと共にCDの普及を勧めたPHILIPS本社のある国で、一方ではレコードに変わるメディアとしてCDを開発・推進させ、一方では価値あるレコードを複刻させるという興味深い国です。
さて、肝心の音質ですが、ノイズレベルが低く奥行き感がしっかりと再現されます。
木管楽器の細かな音やオーケストラと混声四部のトゥッティでも歪み感が無く音楽に浸れます。
そしてベルリン イエス・キリスト教会の残響が綺麗に聴き取れるようになりました。
「こんな良い音で録音されていたんだ!」と言うのが第一印章です。
同じ33rpmでも2枚組になったためカッティングに余裕がある優位性もあります。
やはりモーツァルト:レクイエムのような片面30分近い収録は無理があるのでしょう。
気になる盤質も良好で、この盤では擦れやキズ、反り、そしてレコードを取り出したときに目に付く盤面のゴミ、静電気も少ない状態でした。
有名復刻盤メーカーから出ていないレコードをお探しの方、新たにレコードに興味を待たれた方、そしてオリジナル盤にしか興味の無い方にも聴いて頂きたいと思います。
以下、Vinyl Pasion Classicalの代表盤を一覧にします。
一度には追加できませんが、徐々にリンクを張ってご購入頂けるようにいたします。
お客様から、「同じレコードなのに価格に違いがあるのはなぜですか?」と質問を頂きました。
最初は販売店による価格の違いのことかと思いましたが、詳しいメールを頂き調べたところ、同一原盤による製造メーカーの違いでした。
百聞は一見にしかず? 大型量販店での価格表示をお借りしてみると下記のようになります。
(下記のUniversal盤は当Shop.では販売していないレコードですので価格をお借りしました。)
Universal盤
¥2,937
clearaudio盤
¥5,389 → ¥4,300
ジャケットをご覧頂いただけでおわかりの方もいらっしゃると思いますが、1978年 カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の名盤、シューベルト:交響曲第8番・3番です。
ジャケットはほぼ同じで当然レーベルはドイツ・グラムフォンです。
左側は、Universalが製造したレコード、右側がclearaudio
が製造・販売しているレコードです。(当Shop.でも販売中)
どちらも音源は同じドイツ・グラムフォンですが、マスタリングとプレス、盤質が違うため当然一番大切な音質も異なります。
どちらが良いと言うことでは無く、同じレコードのように見えても実際には異なっていると言うことを知って頂ければ良いのです。
レコードによってはジャケットが全く同じ場合もあります。
Universal盤
¥2,937
Speakers Corner 盤
¥6,253 → ¥3,900
こちらはクリフォード・カーゾン(ピアノ)、ジョージ・セル指揮ロンドン交響楽団の名盤、ブラームス:ピアノ協奏曲第1番です。
ジャケットは同じでレーベルはDECCA、左側はUniversalが製造したレコード、右側がSpeakers Corner Records
が製造・販売しているレコードです。
ジャケットだけ見ると全く同じレコードのようです。
これ以外にも同様な沢山のレコードがあり、製造メーカーをしっかり確認しないとわかりません。
価格に2倍近い差がありますので、どちらを選ばれるかはお客様が決めることですが、違いを知らずに購入することは良くありません。
1年位前に複刻盤メーカーの交渉担当者から教えてもらった事ですが、グラムフォン、フィリップス、EMI、DECCAのクラシックメーカーがUniversalに統合され(現在EMIはWarnerに移ったようです)、それまでは複刻盤メーカーに緩かった使用許諾が厳しくなり、Universal自体でもレコードの販売を復活させて行くと言うことでした。
確かにUniversalから出てくるレコードはかなり増えてきました。
Analogue Productionsがクラシックの複刻盤に進出する際RCAを選んだこと、Speakers Corner Recordsの
新譜がグラムフォンやDECCAだけで無くCBS等が増えたことなどは上記に関係しているかも知れません。
最近新譜として発売されたAnalogue Productionsのレコードをご購入頂いたお客様はご存じだと思いますが、外装のセロファンに『The Analogue Productions Quality Guarantee』(アナログプロダクション品質保証)と書かれたシールが貼られ概要は下記のようです。
・オリジナルのマスターテープ
オリジナルのマスターテープを使用し、最高のマスタリグスタジオで
作業を行います。
・レコード品質、
プレス世界最高のプレス工場でメッキ処理、未使用のビニールにて
プレスを行います。
・比類のないQC
細心のテストプレスにより評価と品質管理を行います。
・デラックスパッケージ
高品質ジャケットや上質紙によるインナースリーブ。
・限定盤
スタンパあたり1,000プレス未満の数量限定。
確かに最新のLiving Stereo Seriesなどのレコードは大変に素晴らしく、お客様からの不良盤の等のご指摘も皆無といえます。上記の品質は保証されていると思います。
間もなくLiving Stereo Series 名録音の目玉といえるハチャトゥリアン:組曲 仮面舞踏会他 キリル・コンドラシン指揮 RCAビクター交響楽団が入荷の予定です。
複刻リクエストでも高音質複刻盤で発売して欲しいとお知らせを頂いておりましたが、恐らく33rpm 200g LP としては最も良い条件で不X遅効されると思います。
流石に早くから沢山のご予約を頂き在庫予定分も予約だけでほぼ完了してしまう状況です。
既に名録音として発売されている、サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 オルガン付 シャルル・ミンシュ指揮 ボストン交響曲楽団、R・シュトラウス:交響詩 ツァラトゥストラはこう語った フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 などとの比較が楽しみです。
さて、Analogue Productionsで以前から気になっていたレコードがありました。それはVinyl Test Pressing というものです。
確認したところ、サンプル盤に相当するのですが、ものによっては入手が出来そうです。
間もなく入手出来ると思いますので実際に再生してみて詳細をお知らせしますが、ご存じのようにサンプル盤は実際にどのような音がするかをプレスして調べてみる為のレコードで、通常の販売盤と比べプレスされる枚数が極端に少なく、スタンパーが最も良い状態の時のプレス盤です。
当然ジャケットは白のまで、ラベルも写真のような状態です。
更に33rpm LPとして発売されているレコードでも入手出来るVinyl Test Pressing盤は45rpmのようです。
実際に手にして再生してみないといい加減なことは言えませんが、音質的には良いと思われます。
取り急ぎ個人用として、ビル・エヴァンス、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、エラ・フィッツジェラルドなどのVinyl Test Pressing盤を発注しました。
価格は高価です。通常盤の 3倍以上してしまいますが、本当に気に入ってレコードの最高音質盤を入手出来るなら奮発して良いかも知れません。
It's four in the morning, the end of December
I'm writing you now just to see if you're any better
New york is cold, but I like where I'm living
There's music on clinton street all through the evening.
12月の終わり、午前 4時
君に無性に会いたくて、いま手紙を書いている。
ニューヨークは寒いけど、ここでの暮らしは気に入っている。
クリントン通りからは一晩中音が聴こえてくる。
レナード・コーエン 1971年発売のアルバム= Songs of Love and Hate のB面 2曲目に入っていた:フェイマス・ブルー・レインコートは大好きな曲で良く聴いていました。
それから10数年後、オーディオメーカーに勤めていた頃にレナード・コーエンの歌とは別の魅力あるフェイマス・ブルー・レインコートをオーディオ評論家の傅 伸幸さんのお宅で当時使われていたアポジーから聴かせて頂きました。音の素晴らしさに加え歌の上手さに惚れ惚れしてしまいました。
そんな私を見て傅 さんは1枚差し上げますよと、まだ日本では発売されていないそのCDを頂きました。
それからは毎日のようにジェニファー・ウォーンズを聴いていました。
先々週、新たなフェイマス・ブルー・レインコートを聴きました。
ドナ・ドナや朝日のあたる家などフォーク歌手として一世を風靡したジョーン・バエズのアルバム ダイヤモンド・アンド・ラスト・イン・ザ・ブルリング のA面 4曲目に入っていました。
流石に歌は上手いです。
1989年スペインの闘牛場でのライブレコーディングなのですが、音質も良くアルバムの出来として満点に近い出来ではないでしょうか。
今の私には、ジェニファー・ウォーンズのフェイマス・ブルー・レインコートよりジョーン・バエズのフェイマス・ブルー・レインコートの方に魅力を感じてしまいます。
ライブでこれだけ歌える人は少ないでしょう。また、ジェニファー・ウォーンズとは違った意味で、オーディオのチェックレコードとしても活躍してくれています。
よくぞ複刻してくれました。最近のAnalogue Productions のヴォーカルものから目が離せません。
ジョーン・バエズを知っている方も知らない方も、騙されたと思って一度お聴き下さい。
私自身も待ちに待ったレコードがようやく入荷しました。
Analogue Productions Living Stereo Series 3タイトルとPrestige MONO 25 Series の2タイトルです。
当初の発売予定から3ヶ月も遅れての入荷ですが、実際に手にとって再生してみるとジャケットと音質の素晴らしさ、そして価格にも満足してしまいました。
長くお待ちいただいたお客様には大変申し訳ありませんでしたが、同様に感じていただけたと思います。
最近ますますレコードに魅せられてしまっていますが、これらのシリーズに加えMusic Matters のBlue Note 75周年記念Series 33rpm 盤のモノとしてのクォリティの高さによるところが特に大きいと思います。
あくまで個人的な好みもあると思いますが、これらのレコードを手にとると、まずジャケットの圧倒的な素晴らしさを感じます。オリジナルを始め多くのジャケットを見てきましたが、現在のプリント技術も加わって、ジャケットの完成度と言う点では最高位のものです。
勿論、いずれのレコードの音質もジャケットと同様に一頭地を抜くもので、レコードならではの太く厚く、それでいて暖かく優しい聴き疲れのしない音を存分に聴かせてくれます。
(ご試聴はこちらへ)
Analogue Productions のPrestige MONO 25は既に 21タイトルが発売され、残り 4タイトルで完結しますが、今年の夏以降には下記のレコードを含むPrestige Stereo 25が発売される予定です。
Prestige MONO 25に比べると渋いラインナップに見えますが、その分復刻される機会も少ない貴重盤です。
また、クラシックでもOriginal Recordings GroupやAnalogue ProductionsのLiving Stereo Seriesも待ち遠しいレコードが目白押しです。
夏に向けて新たな情報が入り次第お知らせいたします。
Stereo誌の取材をして頂いた後、田中伊佐資さんのアナログ・レコード専門番組・ミュージックバードの『アナログ・サウンド大爆発 !』(3月29日/4月5日放送)に出演させて頂きました。
3月29日はショップで扱っているジャズの高音質盤を中心に、4月5日は女性ヴォーカルを中心に両日共に改良したレーザーターンテーブルをスタジオに持ち込んでその場で再生しました。
決められた収録時間、勝手の違うスタジオ内なので十分なレコードクリーニングが出来きず、また、何より口下手で不慣れな私を田中さんの上手いリードで何とか終了しました。
改良したレーザーターンテーブル出力そのままの音ではありませんが、同録で頂いたCD-Rは流石に自宅で再生しても良い音で、自分でCD-Rに焼いた音とは雲泥の差がありました。
ミュージックバードは、16bit 48kHzのPCMデジタル仕様、実際にはどんな音で放送されるのか楽しみです。
また、拙宅のA/Dコンバーター経由で焼いたCD-Rの音がいかに悪いかも痛感しました。
最後に大変貴重な場を頂きありがとうございました。ご協力をいただいた皆様に感謝いたします。
3月29日放送 改良したレーザーターンテーブルで聴く高音質復刻盤
サムシン・エルス
クール・ストラッティン
ブルートレイン
ライブ・イン・パリ
タイム・アウト
4月5日放送 改良したレーザーターンテーブルで聴く女性ヴォーカル
トゥ・ユー・フロム TK
ジャンゴ
ボディー& ソウル
ニューヨークの想い
シャーキーズ・マシーン
ウイズ・ラヴ
先日ミュージックバードのアナログ・レコード専門番組『アナログ・サウンド大爆発!』でもお世話になった田中 伊佐資さんから『シャーキーズ・マシーンが初CD化されましたよ。』とメールをいただきました。
番組にゲストとして出演させて頂いた際に、スタジオに持ち込んだ改良したレーザーターンテーブルでレコードのシャーキーズ・マシーンからジュリーロンドンの『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』を再生した時CDは発売されていなかったため、今回の発売を教えてくださったのです。
早速CDを入手して30余年前の国内プレスのレコードとの聴き比べをしました。
試聴曲はこれまでに数え切れない位聴いているジュリー・ロンドンの『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』で、違いは非常に良くわかります。
あくまでも私の感想ですが、一聴すると出だしのレイ・ブラウンのベースがたっぷりと鳴りレコードより豊かに感じるのですが、ベースの膨らみと感じる帯域は豊かな反面、以外と最低域までは伸びていません。
シェリー・マンのドラムもスネアの音が平面的で、何かヴェールを被った感じで抜け切りません。
バーニー・ケッセルのギターも同様です。
そして肝心のジュリー・ロンドンの息遣いもレコードで聴く方がずっとリアルで悩ましい!
全体の静寂感とでも言えば良いでしょうか、放たれる音と次に放たれる音との間の音が減衰して行く様子はレコードの方が長い時間音を追う事ができます。
試聴したCDプレーヤーは、SONY SCD-1という年代物なのでそのせいもあるかも知れませんが・・・
可能であれば4月5日放送予定の上記番組でレコードの良さを味わってください。
このレコードは映画のサウンド・トラック盤のため写真のようなジャケットですが、内容は本当に素晴らしく音質も優れています。そしてこの豪華メンバーをご覧ください。
録音は1981年 全てこの映画の為の新録音です。
レコードは復刻されておらず、中古レコードも入手には時間がかかると思います。
手軽に早く聴いてみたいと言う方にはCDの販売もしています。
<曲目>
1、ストリート・ライフ | :ランディー・クロフォード | |
2、麻薬手入れ | :フローラ・プリム&バディ・デ・フランコ | |
3、ルート66 | :マンハッタン・トランスファー | |
4、マイ・ファニー・バレンタイン |
:チェット・ベイカー |
|
5、ハイ・エナジー | :ドク・セヴェリンセン | |
6、シャ-キ-ズ・マシ-ン愛のテーマ | :サラ・ヴォーン | |
7、恋の 8 to 5 | :ジョー・ウィリアムス | |
8、マイ・ファニー・バレンタイン | :ジュリー・ロンドン | |
9、SEX演習 | :ドク・セヴェリンセン | |
10、レッツ・キープ・ダンシング | :ペギー・リー | |
11、シャーキーズ・マシーンのテーマ | :エディ・ハリス | |
12、ビフォア・ユー | :サラ・ヴォーン&ジョン・ウィリアムス |
お聴きになったレコードや演奏で、もっと前から聴いていたかった!
と思われるような体験はありませんか?
最近このレコードを聴き終わると、もっと前から知り、レコードだけでなく生の演奏会でも聴いてみたかった・・・ それは、ゲルハルト・ボッセ指揮 神戸市室内合奏団の演奏です。
ベートーベンやメンデルスゾーンの交響曲の演奏というと海外の有名交響楽団のイメージが先行し、ましてや日本の室内合奏団のしかもレコード盤となると聴かれる方は少ないと思います。
私もその一人でした。
神戸にお住まいのお客様から、2年前に亡くなられたゲルハルト・ボッセ指揮の演奏のことを教えて頂き、コウベレックスというレコーディング・CD/DVD制作等を中心に行っている会社からボッセ指揮 神戸市室内合奏団のレコードを販売している事を知り取り寄せました。
私のベートーベンやメンデルスゾーンの愛聴盤は、クライバー バイエルン国立管弦楽団/モントゥー ロンドン交響楽団/イッセルシュテット ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/ベーム ウィーン・フィルハーモニー/クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団/アーノンクール ヨーロッパ室内管弦楽団などですが、あっという間にこれらのレコードの仲間入りをしました。
音楽の演奏を文章で表現することは難しく、ましてや私のような文才の無い人間が書くと誤解を呼びそうなので多くは書きませんが、私の愛聴盤の仲間入りしたことは間違いありません。
もう叶いませんが、やはりボッセ氏の指揮 神戸市室内合奏団の演奏を生で、しかも神戸文化 中ホールで聴いてみたかった!
レコードを聴き終えるとこのように思ってしまいます。
ほんの一端ですがご試聴してみてください。
製作・販売を行っているコウべレックスの方に、他のレコードリリースの予定を伺いましたが、現在のところ次のレコード制作の予定は無いとのことでした。
演奏は勿論ですが、素晴らしい録音、制作・製造(東洋化成プレス 180g 重量盤)販売まで行ったコウべレックスの快挙に心から拍手を送ります。
昨年1年間ありがとうございました。
オープンしてようやく1年半ですが、レコードファンの皆様の応援をいただき新年を迎える事ができました。
12月に入ってから日頃の不摂生からひどい風邪をひいたり、親類に不幸があり度々東京を離れたため、レコード発送などが遅れてしまい大変ご迷惑をおかけいたしました。
そんな影響もあり、復刻希望でいただいているリクエストも掲載できておりません。
新年の正月休みで何とか遅れを取り戻したいと思っておりますので、今しばらくお待ちください。
振り返ってみますと、円安によるレコードの値上がりが大きかったですね。
1ドル=80円が、1ドル=105 になったのですから、何もせずに単純に値上げすれば3,200円で入荷していたレコードは、いきなり4,200円になってしまいます。
しかし、正規輸入代理店の努力などもあって可能な限り価格は押さえて販売をさせていただいております。
適当な例えかどうかわかりませんが、円高の時と同じ価格のレコードは30%以上値下げして販売していることになります。
発売されたレコードを見ますと、クラシックではC&L MusicやAnalogue Productionsの復刻盤に優れたものが多くあり、実際に多くの方が購入されました。
ジャズでは一昨年からシリーズで発売されているAnalogue Productions の Prestige MONO 25、Music Matters のBlue Note 45rpmシリーズなどクォリティーの高いシリーズが安定していて、ポピュラーではMusic On Vinylのレコードが入手可能となりアメリカプレスとは一味違ったクォリティーの高さで往年の名盤タイトルを中心に好評でした。
新譜で発売されるレコードは、個人的でも購入して販売していますが流石に全部は購入しきれません。
別ページで、独断と偏見による『2013年に発売されたお宝レコード』と題して紹介をさせていただきたいと思います。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲と聞くと誰の演奏を思い浮かべられるでしょうか?
私の場合は、自分自身が高校時代はじめて聴いた演奏という事もあり、オイストラフのヴァイオリン=ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団の演奏です。
このレコードですっかりブラームスが好きになっていろいろな他の演奏者のレコードを聴くようになり、そのおかげで沢山のヴァイオリニストや指揮者、オーケストラなども知る事が出来ました。
学生の当時は聴きたいレコードがあっても伝手を使うか足を使うかというような時代でしたので音楽を1曲、1曲真剣に聴いていました。
ようやく発売されたHi-Q Records イツァーク・パールマン(vn) カルロ・マリア・ジュリーニ指揮/シカゴ交響楽団の演奏はとても新鮮に聴こえました。ブラームスのヴァイオリン協奏曲というよりブラームスの作品自体がどちらかと言えば重く、いぶし銀のような押さえた響きのイメージがあります。
ところが、このブラームスは梅雨明けの空のように明るく、そして輝きがあります。パールマンのヴァイオリンは明るく美しくオーケストラと対比します。
シカゴ交響楽団もヨーロッパのオーケストラのような重厚さはありませんが、ジュリーニのテンポを落として細部まで気を配った指揮も加わり、私にとってとても新鮮なブラームスとなりました。
また、録音も素晴らしい。中央に定位するヴァイオリンとオーケストラのバランスが見事で、派手さは無いものの低域から高域まで自然んなバランスで聴かせてくれます。
オイストラフ=セルの名録音と比べても解像度はこちらに軍配が上がるでしょう。
Hi-Q Recordsは、旧EMIの施設や設備を当時実際に製造を行っていた人たちが作業をしているそうなのので、旧EMI = Hi-Q Recordsとも言えそうです。復刻盤メーカーの中でも最も安定し不良盤が少ないメーカーです。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲の名盤と呼ばれるものを年代順にあげてみました。
・ジネット・ヌヴー(vn)
ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮 北ドイツ放送交響楽団 1948年録音
・ジョコンダ・デ・ヴィート(vn)
ルドルフ・シュヴァルツ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1953年録音
・ヨハンナ・マルツィ(vn)
パウル・クレツキ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1954年録音
・ヤッシャ・ハイフェッツ(vn)
フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1955年録音
・エリカ・モリーニ(vn)
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1956年年録音
・ミシェル・オークレール(vn)
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ウィーン交響楽団 1958年録音
・ヘンリク・シュリンク(Vn)
ラファエル・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団 1967年録音
・イツァーク・パールマン(vn)
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 シカゴ交響楽団 1976年録音
・ダヴィッド・オイストラフ(vn)
ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団 1968年録音
・ギドン・クレメール(vn)
レナード・バーンスタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1982年録音
・アンネ・ゾフィー・ムター(vn)
ヘルべルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリンフィルハーモニー 1981年録音
※オリジナルではないジャケットも含まれています。
カンターテ・ドミノを初めて聴いたのは評論家の故浅沼先生のお宅でした。
オーディオメーカーに勤めていた関係で、評論家の先生のお宅まで新製品を聴いていただくため頻繁にお伺いしていたことがありました。
浅沼先生のお住まいは浦安にあり、当時使われていたロクサンのプレーヤーにレコードを載せられ、JBL- K2 から素晴らしく奇麗な合唱とパイプオルガンの重低音を聴かせていただいた事を覚えています。
それから数日して会社からの帰りにカンターテ・ドミノのレコードを買い浅沼先生宅の音を思い出しては自宅の音に細かな調整をした事を思い出します。
今回カンターテ・ドミノのFirst Impression Music + Quality Record Pressingsの新リマスター盤 (200g)が出た事で以前に購入したレコード (180g)を引っ張りだして聴き比べました。
あくまでも個人の感想で、聴かれるオーディオ機器によって異なる場合もあると思います。
1曲目の演奏が始まった途端に『柔らかい』と思いました。音が滑らかなのです。
リマスタリングだけでなく盤質による所も大きいと思います。
元々低域は伸びているレコードでしたが、新リマスター盤は更に伸びていて暗騒音がたっぷりと聴こえます。
合唱のブレスの息づかいやパイプオルガンのペダル、スロットの開閉もはっきりと聴き取れます。
改めて聴くと、録音もさることながら演奏、選曲も良いアルバムです。
雪に囲まれた小さな教会で行われているクリスマス間近の演奏会・・・
そんな暖かな雰囲気が伝わってくるレコードです。
通常盤は限定発売となっていますが、現在 ¥3,200 〜 ¥4,200位で入手出来るようです。
First Impression Music盤は ¥5,200となりますが、こちらの音を聴いてしまうと以前のレコードはもう聴かないだろうと思います。
7月にMusic Mattersのレコードの音を聴いていただくためGoogle Playerを使用しましたが、8月に入りGoogleが配布を終了しました。そこで、Yahoo Media Playerに切り替えましたが、なんと8月にYahoo Media Playeも配布を終了しました。背景には世界的に違法なアップロードやダウンロードがあるようですがいきなりの終了は困ります。
このため、お盆休みは新たなプレーヤー探しとホームページへの組み込みで、あっという間に終わってしまいました。
現在埋め込んでいるプレーヤーはAudioPlayというもので、おそらく最もシンプルなプレーヤーだと思います。場所をとらず、動作は安定していて音楽を聴いていただくにはこれで十分だと思います。
▶(再生)とポーズ(終了)しかありませんがお使いいただければ幸いです。
当初の予定から3ヶ月も発売が伸びた『マーラー交響曲第2番 復活』レナード・バーンスタイン指揮/ニューヨークフィルハーモニックのレコードがようやく今日届きました。
入荷の当日中に何とかご予約を頂いていたお客様にレコードを発送する事が出来ました。
ほっとして自分用に購入したレコードを早速聴きました。
演奏については『復活』の決定的名盤として、数多くの『復活』のなかで未だに絶賛されていますので何も付け加える事はありませんが、音質的にも圧倒されました。
これは想像でしかありませんが、マスタリングを行ったユニバーサル・ベルリンのマールテン・デ・ボア氏はこの決定的名盤で、オーケストラ、しかも合唱を含む大編成の曲だってレコードでここまで再現できるぞ!と言いたいのではないでしょうか?
CDとレコードのように音楽を入れる「入れ物」が異なる場合、中身をいかに上手く入れ物に入れるかが大きなポイントになりますが、この『復活は』レコードという入れ物に音楽全てを上手く入れる事が出来たのでしょう。最近私が聴いたクラシック復刻盤の中でもベスト3に入る事は間違いありません。
オーケストラと合唱での微妙な空気感、音場感も見事に再生されます。
クラシック音楽にこそ必要な低音も限界まで伸びていて、最後の『復活の賛歌』〜おお、苦しみよ、すべてにしみ通る苦悩よ〜 のパイプオルガンとオーケストラのトゥッテイでは圧倒的なフォルテシモでSWを心配してしまう程の重低音が出てきます。
一時のColumbia録音にあるような乾燥したニューヨークフィルの弦の音はなく潤いに満ち漂うような弦楽器に柔らかな木管、そして鋭くなり過ぎない金管。暖かく濁りの無い独唱と合唱・・・・
勿論、打楽器の力強さ、パイプオルガンの這うような重低音も
是非お使いのプレーヤーをチェックされて、最新のアナログレコード再生に挑戦してください。
7月1日、いきなりMusic Maters ブルーノート 45rpmの試聴が出来なくなりこれには焦りました。
数分前には問題なく試聴できていましたので。
ホームページ上で音楽再生を行う場合、試聴用プレーヤーが必要になります。HTML5に対応したブラウザなら簡単に再生させられますが、これですと外観が折角お聴きいただくのにちょっと味気ないのです。
(ノイズを聴いていただくという事で、レコードクリーニングのページではこれを使用しています。)
また、試聴の際はJASRACからも音源をDL出来る配信はNGと言われていて更に選択肢が狭くなってしまいました。
時間もありませんでしたので、結局 Yahoo WabPlayerを使う事にしました。
少し大げさなプレーヤーですが、私のようなホームページ素人でも使えました。
曲目の左側にあるプレイボタンを押して再生、ポーズボタンを押して終了とこれだけでも良いのですが、下記の画面のような使い方も出来ます。
(画像をクリックすると拡大します。)
プレーヤーを終了するには右上の × をクリックしてください。
6月15日から 米 Music Maters Blue Note 45回転盤の試聴を許諾を受けてスタートしました。
Music Matersのページに書きましたが、ブルー・ノート45回転レコードの素晴らしい音質を、実際にレコード再生を行い、その音をWeb上で試聴していただくことが出来ないだろうか?
そんなことを考えてから半年かかってようやく形に出来ました。
1950年〜1960年代の録音が中心のブルーノートですが、いかにルディ・ヴァン・ゲルダーの録音が素晴らしかったか、また、Prestige MONO 25でもお馴染みのケビン・ケナーのマスタリング、45回転レコードという最高の組み合わせによって驚く程新鮮な音をで聴かせてくれます。
折角レコードを良い音で再生してもWeb上での試聴となるとデジタル化して圧縮するため音質の劣化は否めないことはわかっています。それでも、少しでもレコードの良さをお聴きいただきたかったのです。
試聴が可能となってから1週間も経っていませんが、レコードをご購入いただいているお客さまから『レコードの良さは出ている』『音に力がある』『他の試聴と比べて音が良い』などのメールをいただきとても嬉しかったです。
また、実際に再生しているプレーヤー(レーザー・ターンテーブルの改良モデル)についてのご質問をいただいていますので改めてページを作りたいと思います。
Music Matersの試聴レコードは徐々に追加していきますのでよろしくお願いいたします。
アナログレコードに興味を持たれた若い方から、『どこの復刻盤のメーカーが良いのですか?』と聞かれることがあります。
そう言えば、最近は同じレコードタイトルが複数の復刻盤メーカーから3種類、4種類と発売されていて、更に中古のレコードまで含めると迷ってしまうかも知れません。
それでも一番のお勧めは、いろいろと買われてご自身で判断されることです。
たくさん失敗しながら自分に一番合った、確かなメーカーを判断することだと思います。
少しだけお手伝いをします。購入できるコルトレーンの4枚のジャケットを並べてみました。
シールは別として色調はおおよそ同じように合わせましたが、ジャケット自体にも違いがあります。価格にも違いがあり、大切な音質も含めてどれが良いかの判断をするのは私ではありませんが、違いを知った上で復刻盤とお付き合いください。 (4枚目 AP Prestigeは、Analogue Productions Prestigeです。)
1957年 Prestige
PRLP 7105
2012年 DOL
DOL708
2010年 Wax Time
771666
2012 AP Prestige
LP 7105
久しぶりに音楽を聴こうと思っていたら、何とC&L Musicの新譜が3タイトル入荷してきました。
当社は3月末の発売予定が4月初旬になり、そして4月末日、それが・・・でも入荷が早くなる分にはかまいません!
どれから聴こうか迷いましたが、聴いたことのなかったR ・シュトラウスのヴァイオリン ソナタを聴くことにしました。
R.シュトラウスと言って浮かんでくるのは、『ツァラトゥストラはかく語りき』『ドン・キホーテ』『英雄の生涯』『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』『死と変容』などの交響詩、交響曲では、『アルプス交響曲』、『家庭交響曲』、オペラでは、『バラの騎士』『サロメ』『エレクトラ』など、など。
R.シュトラウスが1曲しか残さなかったこのヴァイオリン ソナタはすぐに気に入りました。
ロマン派のヴァイオリン ソナタのようにヴァイオリンがメロディーを奏でピアノが伴奏をするという形から一歩踏み出して対等に音楽を構築しながら美しさもある素晴らしい曲でした。
チョン・キョンファのヴァイオリンとクリスチャン・ツィメルマンのピアノが完璧と言っても良いほど溶け合いながらまるで協奏曲のようなスリリングな面もあり3回も続けて聴いてしまいました。それほど素晴らしい曲と演奏です。
録音は、響きの奇麗なホールの中央席より少し前で聴いているような感じですが、かなり細かな音まで聴こえます。気になる程ではありませんが、クリスチャン・ツィメルマンも唸るんですね。
ダイナミックレンジも広くてツィメルマンのフォルテシモでも音が濁りません。また、チョン・キョンファの好くうたい美しい音色も余すとこなく聴くことができます。特にお勧めできる1枚です。
昨年12月に、C&L Musicから5タイトルのレコードが発売され初回500枚のプレスはすぐに無くなり現在の再プレス分も殆ど完売状態の大好評です。
この中に、PHILIPSの『シューベルト アルペジオーネ ソナタ』マイスキー&アルゲリッチと、『J.S.バッハ、バルトーク、パガニーニー無伴奏ヴァイオリン作品集』ムローヴァがあり、発売される際、レコード告知用に使用するジャケット写真が実際のジャケットと変わる可能性がありますとの連絡をもらっていました。
変わる理由はジャケット写真を見てわかりました。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、1998年にフィリップスはユニバーサルミュージックに統合され、後にフィリップスのクラシック部門がデッカミュージックの傘下に入り、2009年からクラッシックのフィリップス原盤でのPHILIPSのロゴの使用は禁止され全てDECCAに変更する。と言う事を以前発売されたCDを見ていたので知っていたからです。
左は同じアルペジオーネ ソナタのCDジャケットで、レコードと比べると何とも中途半端で物足らなく見えますが、同じようにPHILIPSのロゴは消えDECCAに変わっています。
DECCA自体は歴史もあり素晴らしい音源を数多く持っていますが、PHILIPSにも個人的には好きなレコードが沢山ありロゴには愛着もあります。
時の流れで仕方が無いのかも知れませんが、PHILIPSが消えてしまうのが残念ですね。
それから面白いことが。
レコードの帯は日本独特の物で海外盤ではほとんど見られませんが、このC&L Musicの5タイトルには白帯が付いています。
予約、または発売されて間もなく買われた方(初回入荷分)のレコード帯と年が明けて1月下旬以降に再プレスされて入荷したレコード帯は違います。
写真ではハッキリしないかも知れませんが、初回入荷分はタイトルや演奏者名は英語ですが、曲目はハングルで書かれています。再プレス分からはすべて英語です。既に購入された方はご確認ください。
最近クラシック音楽がお好きなお客様から、「品切れすると何でこんなに入荷するまで時間がかかるの?」と質問をいただきました。
ご注文いただいたレコードはマイスキー&アルゲリッチ シューベルト『アルペジオーネ ソナタ』は音質・盤質・ジャケット共に素晴らしく、確か初回入荷から4〜5日後だったと思いますが、その時すでに品切れとなっていました。
このレコードは当時のPHILIPSが制作し、C&L Music(韓国)がユニバーサルと組んでレコードにしたものです。初回500セット(全部で5タイトル)の少量限定生産と言う通り初回プレス分が無くなった訳です。
このシリーズは、高音質で定評のあるドイツのパラス社(Pallas)にてレコードプレスを行うというこだわりもあったため時間がかかったものと思われます。
メーカー(製造元)は、在庫が無くなったからすぐに再プレスするわけではなく、今後の販売見通しや原盤使用権の期日やプレス会社のスケジュールなどにも影響されます。また、プレス会社はいろいろありますが、オリジナル盤以上のプレスができる会社は限られます。このため条件が整っても再プレスから入荷まで1ヶ月以上かかってしまうのす。
こんな事からも、購入される予定のある新譜レコードは予約されることをお薦めしますが、他にも理由があるのです。
見本盤(サンプル盤、白盤)は音が良いという事を聞かれたことはありませんか?
むかし勤めていたレコード会社で私も実際に経験しましたが、確かに後から発売される通常のレコードと見本盤を聴き比べると、全てとは言いませんが見本盤の方が新鮮な音がしました。
勿論、後から発売されているレコードの音が悪いと言っている訳ではありません。また、この差は音にこだわって注意深く聴いて比べた違いで全く気にされない方もいらっしゃる位の差なのです。
しかし、僅かな差でも気にするのが趣味の世界でありデジタルとは違うアナログの世界なのだと思います。
そこで、レコード盤を作るための行程を思い出してみました。かなり以前の記憶なので名前は間違っているかも知れませんが、行程は合っているはずです。
ラッカーマスター(凹盤)→ メタルマスター(凸盤)→ メタルマザー(凹盤)→ プレス用スタンパー(凸盤)
という4種類の盤が必要で、最後のプレス用スタンパー(表面用・裏面用の2枚の凸盤)の間にビニールを入れ、サンドイッチ状態にして熱と圧力でプレスしてレコード盤を作ります。
このプレス用スタンパーは繰り返しのプレスによって徐々に摩耗して行きます。何枚プレスさせるかはメーカーにより異なりますが、スタンパーの交換間際にプレスされた盤と早い時期にプレスされた盤とでは当然・・・
つまり、見本盤は通常販売されるレコード盤より前にプレスされるため、大きな差では無いにしても先程の音質の件もご理解頂けると思います。
コストや手間がかかるためプレス用スタンパーを頻繁に交換することは難しいと思います。また、再プレスだからといって必ず新しいスタンパーによってプレスされるとは限りません。
これらから、新譜のレコードを購入される場合は、予約をされてスタンパーの使用回数が少ない(プレス回数の少ない)初回盤をお薦めします。
30年位前、まだレコード会社に勤めていた頃に当時の先輩が、『ジュリー・ロンドン好きなんでしょ! これあげるよ!』と言ってくれたのがこのピクチャーレコードでした。
20代後半の私は何とも色っぽく魅力的なジュリー・ロンドンにすっかり参っていて、リバティー(当時はキングレコード)から発売された国内盤を買い漁っていました。そんな時に貰ったので本当に嬉しかった・・・。
このレコードが切っ掛けで益々ジュリー・ロンドン熱が上がってしまったことは言うまでもありません。気が付けば輸入盤も含め19枚のアルバムが揃っていました。
中でも一番気に入っていたアルバムは、『アラウンド・ミッドナイト』です。もともとジュリー・ロンドンは夜のイメージがあると思いますが、このレコードは選曲やアレンジからも正に夜がピッタリのアルバムでした。
ピクチャーレコードとは縁がなく殆ど持っていませんが、このレコード一度も聴いていません。
何故って、針でジュリー・ロンドンの顔を削ってしまうのは勿体ないし、盤面と接触無しのレーザーターンテーブルはピクチャーレコードを再生出来ないし・・・でも、A面は彼女の代表曲の『クライ・ミー・ア・リバー』なのです。
勿体なくて再生できなんて罪なレコードです。
11月30日、今から58年前に20世紀を代表する指揮者、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーが亡くなった日です。
フルトヴェングラーと言うと、どうしても思いだしてしまうことがあります。
高校に入学して間もない頃は、自転車で遊びに行ける親戚の叔父の所に良く行来ました。その目的は、叔父のオーディオ装置と好きになったばかりのクラシックレコードです。
自宅の装置では聴くことの出来ない凄い音でクラシック音楽を聴かせてもらうと、まるで別の音楽を聴いているような違いがあり音の違いというのをハッキリと認識できました。
叔父の所では、ベートーベンを中心に聴かせてくれたのですが、クラシックが好きになったと言ってもベートーベンでまともに聴いたのはせいぜい学校で聴いた「運命」と「田園」くらいしかありません。
きっとつまらなそうな顔をしていたのでしょう。叔父が急に、「この指揮者は凄い指揮者なのだが指揮棒の振り方が分かりづらく、指揮棒を 振ると面食らう(フルトヴェングラー)んだ」と、いまで言うオヤジギャグを話してくれました。
その一言で難しく感じたベートーベンもフルトヴェングラーも一挙に親しみを覚えたことを思いだします。
それから40数年経っていますが、いまでも新しいフルトヴェングラーの音源が見つかり世に出てくると言うことは凄いことだと思います。
昨年はRIASの14枚組録音選集が素晴らしい状態で出ましたが、今年もTAHRAの7枚組名演集が発売され、しかも日本だけでの限定出荷、初回完全限定盤とのこと。フルベンは凄い!
高校生の頃、クラスにクラシック音楽好きが4人集まりました。いま考えると不思議ですが、交響曲とかを聴いていたわけではなく「メンコン」、「チャイコン」、「ベトコン」、「ブラコン」などと呼んでいた有名なヴァイオリン協奏曲ばかり聞いて「あれは凄い」だの、「こっちの方がもっと凄い」だのと言って聞きまくっていたのです。
レコードとFM、カセットテープが支流の時代で、高校生の小遣いではクラシックのLPを何枚も買えるはずもなく、友達と相談しながらそれぞれが違うLPを買って貸し借りしたものをカセットにコピーして聞いていました。
楽しく良い時代でした・・・ その頃に買った「チャイコン」がこの左側のLPです。
キングレコードから発売されたばかりの、チョン・キョンファのヴァイオリン、アンドレ・プレビン指揮、ロンドン交響楽団の演奏で、22歳のチョン・キョンファのデビューレコードでした。
当時の大したことない再生装置で聴いても、彼女のヴァイオリンの音色の美しさと緊張感はひしひしと伝わり、それまで聴いていた、スターンやメニューイン、オイストラフが揺らいでしまうほどの衝撃があったのです。このレコードで、初めて聴いたB面の「シベコン」もすっかりと気に入りました。
その後もチョン・キョンファ熱は冷めず、新しく出るレコードはほとんど買う大ファンでそれはいまも続いています。
右側のジャケットは社会人になってから買ったDECCA盤です。このオリジナルの輸入盤は音質は良いものの、国内盤と比べると盤質がいま一つ良くありませんでした。
怪我で一時演奏活動を中止していたチョン・キョンファは昨年復活して、来年6月には日本でリサイタルを行うとのこと。オーケストラとの共演も魅力的ですが、ピアノ伴奏だけで彼女のヴァイオリンの音色を満喫するのも良いですね。
今度C&L Music から復刻される『愛の喜び -Con Amore』の発売が今から楽しみです。
11月20日はジューン クリスティーの誕生日です。
私の大好きな歌手なので、この日とばかりにレコードを出して聴きます。レコード棚から彼女のキャピトル時代のレコードを何枚か取り出すと代表作である『サムシング クール』が2枚出てきました。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「サムシング クール」の指揮と編曲はクラシックの大作曲家、ダリウス・ミヨーに師事をしたピート・ルゴロです。
左側の目をつぶった笑顔のジャケットは1953年〜1954年に録音されたモノラルレコードで、最初は10インチ盤で発売され、1955年に現在多くある12インチ盤になったようです。
この「サムシング クール」が大ヒットしたため、
キャピトルでは6年後にジューン クリスティーをはじめ同じピート・ルゴロの指揮とアレンジでステレオ録音を行いました。これが、右側の目を開いた笑顔のジャケットです。
僅か6〜7年の違いしかありませんが、個人的には左のモノラル盤の方が声に張りがあるしよりクールなので好きです。
かなりの酒豪だったようで、早くから喉の衰えが出てしまったのかも知れませんね。
「サムシング クール」のような名盤こそ各復刻盤メーカーから出して欲しいレコードです。
店主の萩原です。ご覧いただきありがとうございます。
音楽とオーディオに対する情熱は40数年続いていますので、自分でも好きなんだナ〜と思います。
レコードやオーディオについて書いていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願い致します。
復刻盤を中心にアナログ レコードの販売を行っていますので、お客様から「オリジナル盤と復刻盤ではどちらが音が良いの?」と聞かれることがあります。
この『音が良い』と言う言葉は広義で、人それぞれで『音が良い』というポイントが異なるため慎重にお答えしています。
誤解の無いように私自身の持っている「オリジナル盤」と「復刻盤」の比較だけで言えば、殆どの場合は復刻盤の方がレンジが広くクリアーでステレオの場合セパレーション(音場感)が向上している盤が多いです。
でもこれは特性的なことで、「音が良い」というポイントから外れていることがあります。
例として左側のジャケット、ペギー リーが1953年に吹き込んだ名盤『ブラックコーヒー』で比較してみます。
オリジナル盤はDECCAの10インチ盤で、復刻盤はドイツに本拠を構えているSpeakers Corner Recordsがオリジナルのマスターテープを使用し、現在の最新の技術によりマスタリング、プレスを行い復刻販売しているものです。
ここからは私の主観と、再生装置による感想ですので、聴かれる方の好みや装置によって違いがあることをご理解下さい。
それでは、タイトル曲のブラックコーヒーについて聴いたままを書いてみます。
オリジナル盤は全体的にペギー リーの声にスポットを当てたような感じで、声が張り全面に出て来ています。
冒頭のベースのピチカート(G2)音やミュート・トランペットは中央で平面的に聴こえます。ペギー リーが歌っている音域(G3〜B♭4、周波数では約195Hz〜466Hz)の2〜3倍音にあたる1kHz〜1.5kHzあたりが僅かに強調されているようで、これが声に張りを与えているように感じます。
一方復刻盤の方は、最初のベースのピチカートから音が弾み、ペギー リーの声も強調されたところが無く自然で息遣いもリアルです。ベースの量感は明らかに復刻盤の方が豊です。モノラル盤ですが、トランペットとピアノの奥行き感がはっきりとしています。低域から高域まで強調感はなく自然です。
ペギー リーではこのような結果でしたが、他のオリジナル盤と復刻盤では異なる結果が出るかも知れません。
また、オリジナル盤はかなり再生されていますので、溝の減りや痛みもあると思います。
最初に戻りますが、聴かれる方が中域が僅かに持ち上がっているカマボコ型のような音が好みの方であれば、間違いなくオリジナル盤の方が『音が良い』と言われるはずです。
物理的な特性としては復刻盤の方が良いと思いますが、音質に関しては好みがあるため一概にこちらが『良い』とは言えません。
オリジナル盤の収集が目的でなく、レコード音楽を楽しむためと言うことであれば、個人的に復刻盤をお薦めします。
何故ならオリジナル盤は余りにも高価になってしまったからです。