またまた間が空いてしまいました。
ALTEC A5にしてはかなり柔らかい音も出せると思っていましたが、
このレコードを聴いてもっと柔らかで優しい音が欲しくなりました。
それは、ロサンゼルスを拠点に大躍進のYarlung Recordsが発売した
メゾ・ソプラノのサーシャ・クックが歌う『リュッケルトによる5つの歌曲 他』45rpm LPです。
CDが先に発売され海外のオーディオ雑誌では軒並み最高の評価を得ていましたが、CDは購入せずレコードが発売されるのを待っていました。そその甲斐は十分ありました。
自分なりにマーラーの音楽はこんな音で鳴って欲しいという想いがありますが、いろいろなマーラーのレコードを聴いて来たた中で、サーシャ・クックのこのレコードが一番その想いに近かったのです。
2管編成のオーケストラは構えなくてリラックスしたままですんなりと響き、特にP(ピアノ)での木管楽器の膨らみ、それを包み込む弦楽器の音色、エッジが効きすぎない金管が上手く乗り、でもフォーカスは甘くならない・・ そうそう、これでもう少しだけ音がふわっと柔らかく浮いてくれれば・・・
そこで、思い出したのが昔A7の時に鳴らしていた真空管アンプの音です。
当時は、A5に移行したばかりで低音、高音用共に300B、2A3のシングルアンプだったため音の美しさは認識していたものの、A5に真空管のシングルアンプは辛いかなと早合点し諦めてしまいました。
でも、それから10年以上経ちA5ともその頃に比べずっと仲良くなり、小出力アンプでも上手く鳴ってくれる自信が付きました。
考えた末、高音用アンプとして使用している CROWN D-75A(288 + 1005ホーン)を真空管アンプに変えてみることにしました。
ちょうどサンオーディオのSV-300Bという古いモノラルアンプを2台入手できました。
こんどは2A3シングルではなく、300Bのパラシングルアンプ(モノラルアンプを2台並列使用)で鳴らすことになります。
10年位の間に真空管アンプは、トランスの価格上昇によって随分値上がりしてしまい、真空管のWE300Bも2倍以上になってしまいました。
入手したアンプの真空管は大分疲れ気味だったので、300B、6SN7、5U4GBのすべてを最近評判の良い中国製のプスバン製に変更、内部のコンデンサーもちょっと良いものに変更しました。
エージングは、LE8Tに繋ぎ1週間ほど鳴らし仕込むと20cmのフルレンジでも熟れて来たことがわかりました。
10年位前までは信頼性も音も今一つだった中国製の真空管は大進歩! 大満足です。
CROWN D-75AからSV-300Bに配線を繋ぎ替え
未だに現役で使用しているdbx DriveRack4800でレベル調整とクロスオーバー周波数、フィルター等を確認します。
A5の高音用(288 + 1005ホーン)の受け持ち帯域は500Hz 〜14.8kHz にセット。
Hi Pass 500Hz バターワース -12db/Oct、
Hi Pass 14.8kHz バターワース -12db/Octこれはそのままにしました。
ブログには追記できていませんが、2年位前にA5の低音用(515Bウーファー)のアンプをCROWN XLS 402 ×2台からCROWN macro-tech 1202に変更しました。
CROWNのアンプは業務用のためdbx DriveRack4800との相性はピッタリで、多少無理をしても破綻せず安定した音を聴かせてくれます。
また、515Bのような重めのウーファーにはダンピングファクターが
大きな方が良いと思います。
それにしても1,000以上とは・・・
さて、SANAUDIO SV-300Bに変更した音はどうだったかと言えば、《ソフト&スィート》です。
レンジ感は
CROWNの方が広く、S/Nも良かったのですが、レンジが少し狭いようでも、ノイズが少し出ていてもこちらの方が魅力的です。
良い例えかどうか分かりませんが、私の頭の中では、音の硬さを判断するときに鉛筆の硬さを持ちだします。
鉛筆には最も硬い9Hから最も柔らかい6Bまで17段階あります。
とてもそんな細かく判断できませんので、自分自身で丁度良いと思う柔らかさをHBとしています。
僅かに硬い音だとF、もう少し硬いとH、反対に少し柔らかめだとB、もう少し柔らかめだと2B、こんな5段階で判断しています。
高音のアンプを替える前はFに近い、僅かに硬い音質だったと思いますが、アンプを替えたことにより サーシャ・クックの声にも変化がありました。
Fに近かった声はHBになりました。飾りがなく素直な歌声は魅力的で心地よく響きます。
そう、角が取れ柔らかく音に包まれるような優しさがでてきました。真空管アンプのおかげです。
それにしてもこのレコードは素晴らしい!