昨年SONYが日本国内でレコードのプレスを行うというニュースから随分時間が経ちましたが、3月21日に第1弾として大瀧詠一「夢で逢えたら」、ビリー・ジョエル「ニューヨーク52番街」が発売されました。
SONYが発売する国内プレスのアナログ・レコードには興味津々で早速聴いてみました。
夢で逢えたらは、大瀧詠一を始め、ラッツ&スター、シリア・ポール、吉岡聖恵(いきものがかり)、吉田美奈子(2018年の 4人のアーティストが名曲「夢で逢えたら」を歌います。価格は税込み ¥2,484 です。
大瀧さんはレコーディン・グエンジニア、マスタリング・エンジニアとしての顔を持つだけあり、ナイアガラ・サウンドは素晴らしいオリジナル・マスターだったようです。
今回のレコードは当時の国内盤よりクリアでレンジが広がっていると思います。
また、ビリー・ジョエルの「ニューヨーク52番街」は1978年にレコードで発売され、1982年に世界で初めて商業用CDとして発売された事もありアナログレコードの複刻第1弾に選ばれたようです。
録音も当時として素晴らしくソニー以外からも既に復刻盤が発売されています。
こんな機会も滅多に無いので、手元にある他の復刻盤盤とソニーの国内プレス盤を比べて見ることにしました。
(重量等はアナログの料理用秤を使用して計測しましたので誤差があると思います。目安としてご覧下さい。)
SONY Records ¥ 4,104
ジャケット重量:82g
レコード重量:148g
IMPEX RECORDS ¥ 4,800
ジャケット重量:90g
レコード重量:194g
Music On Vinyl ¥3,700
ジャケット重量:84g
レコード重量:174g
レーベルは勿論 SOMYMUSIC
レーベルはCOLUMBIA
レーベルはCOLUMBIAでイラストなし
レコードの重量は殆どの輸入盤が180gなのでソニー盤も180gと思っていましたが、昔の国内盤同様約150gでした、ジャケットも一番薄くペナペナジャケットでした。
盤質は光沢が綺麗でとても良く反りも有りませんでしたが、内袋から出したレコードに埃や小さなゴミが盤面に付いていました。
同時に開封した大瀧詠一盤にもゴミが少々・・・
東洋化成がプレスしたレコードにはこんなことはありませんでした。今後の品質管理に期待します。
さて、肝心の音質ですが、このマスターテープを聴いたことが無いため個人的な嗜好も入った比較となります。
じっくり試聴したのは1曲目、「ビッグ・ショット」です。
◎SONY盤はとにかくクリアで最初の音が出た瞬間からレンジが広いと思いました。音に爽やかさがあります。
昔のSONYのレコードに感じた4KHzあたりが若干持ち上がった印象はなく堅さはありません。
オーディオ的には一番でレコードの盤質も良くS/Nも優れています。
◎IMPEX盤はSONY盤の音を少し大人っぽくした感じで、音に独特の色気があります。
音を聴かせるという感じはなく、音楽をじっくり聴かせてくれる自然な音質です。
オネスティなど、特にしっとりとした優しさを持っていて聴き入ってしまいます。
また、最初に取り出したときの盤面はSONY以上に綺麗です。
◎Music On Vinyl盤の音質は、全体的に軽やかで伸び伸びとしていて味付けは感じられません。
低音の不足感はありませんがやや軽めの低音です。高域はハイハットなどのアタックが少し丸い感じです。
あくまで他の盤との比較のため書きましたが、Music On Vinyl盤は聴いた盤全てが素直で、いい加減な
リマスターをされたCDのような音のものは有りません。
実際に目でも確認出来れば良いと思い、改良したレーザーターンテーブルのRIAAバランス出力をチャンネルデバイダーとして使用しているdbx DriveRack4800に入力し、リアル・タイム・アナライザー機能を使用して周波数の分布をプリント・スクリーンしてみました。(画像をクリックすると拡大します。)
表示部分は1曲目、「ビッグ・ショット」の歌い出し部分ですが、入力レベルは固定してありますので、SONY盤
のカッティング・レベルが一番大きくレンジが一番広い事が分かりました。それ以外にも各レコードの特徴が出ていると思います。
※改良前のレーザーターンテーブルはオーディオ回路にLOWカット用のコンデンサーが入っていますが、改良したオーディオ回路はLOWカットをしていませんので、レコードに信号やワウ・フラッターの原因となる偏心があれば20Hzでもそのまま出力します。
今回のSONY盤は偏心は感じないレベルですので、低域はカットしていないようです。