ブラームスのヴァイオリン協奏曲と聞くと誰の演奏を思い浮かべられるでしょうか?
私の場合は、自分自身が高校時代はじめて聴いた演奏という事もあり、オイストラフのヴァイオリン=ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団の演奏です。
このレコードですっかりブラームスが好きになっていろいろな他の演奏者のレコードを聴くようになり、そのおかげで沢山のヴァイオリニストや指揮者、オーケストラなども知る事が出来ました。
学生の当時は聴きたいレコードがあっても伝手を使うか足を使うかというような時代でしたので音楽を1曲、1曲真剣に聴いていました。
ようやく発売されたHi-Q Records イツァーク・パールマン(vn) カルロ・マリア・ジュリーニ指揮/シカゴ交響楽団の演奏はとても新鮮に聴こえました。ブラームスのヴァイオリン協奏曲というよりブラームスの作品自体がどちらかと言えば重く、いぶし銀のような押さえた響きのイメージがあります。
ところが、このブラームスは梅雨明けの空のように明るく、そして輝きがあります。パールマンのヴァイオリンは明るく美しくオーケストラと対比します。
シカゴ交響楽団もヨーロッパのオーケストラのような重厚さはありませんが、ジュリーニのテンポを落として細部まで気を配った指揮も加わり、私にとってとても新鮮なブラームスとなりました。
また、録音も素晴らしい。中央に定位するヴァイオリンとオーケストラのバランスが見事で、派手さは無いものの低域から高域まで自然んなバランスで聴かせてくれます。
オイストラフ=セルの名録音と比べても解像度はこちらに軍配が上がるでしょう。
Hi-Q Recordsは、旧EMIの施設や設備を当時実際に製造を行っていた人たちが作業をしているそうなのので、旧EMI = Hi-Q Recordsとも言えそうです。復刻盤メーカーの中でも最も安定し不良盤が少ないメーカーです。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲の名盤と呼ばれるものを年代順にあげてみました。
・ジネット・ヌヴー(vn)
ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮 北ドイツ放送交響楽団 1948年録音
・ジョコンダ・デ・ヴィート(vn)
ルドルフ・シュヴァルツ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1953年録音
・ヨハンナ・マルツィ(vn)
パウル・クレツキ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1954年録音
・ヤッシャ・ハイフェッツ(vn)
フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1955年録音
・エリカ・モリーニ(vn)
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1956年年録音
・ミシェル・オークレール(vn)
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ウィーン交響楽団 1958年録音
・ヘンリク・シュリンク(Vn)
ラファエル・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団 1967年録音
・イツァーク・パールマン(vn)
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 シカゴ交響楽団 1976年録音
・ダヴィッド・オイストラフ(vn)
ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団 1968年録音
・ギドン・クレメール(vn)
レナード・バーンスタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1982年録音
・アンネ・ゾフィー・ムター(vn)
ヘルべルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリンフィルハーモニー 1981年録音
※オリジナルではないジャケットも含まれています。