高校生の頃、クラスにクラシック音楽好きが4人集まりました。いま考えると不思議ですが、交響曲とかを聴いていたわけではなく「メンコン」、「チャイコン」、「ベトコン」、「ブラコン」などと呼んでいた有名なヴァイオリン協奏曲ばかり聞いて「あれは凄い」だの、「こっちの方がもっと凄い」だのと言って聞きまくっていたのです。
レコードとFM、カセットテープが支流の時代で、高校生の小遣いではクラシックのLPを何枚も買えるはずもなく、友達と相談しながらそれぞれが違うLPを買って貸し借りしたものをカセットにコピーして聞いていました。
楽しく良い時代でした・・・ その頃に買った「チャイコン」がこの左側のLPです。
キングレコードから発売されたばかりの、チョン・キョンファのヴァイオリン、アンドレ・プレビン指揮、ロンドン交響楽団の演奏で、22歳のチョン・キョンファのデビューレコードでした。
当時の大したことない再生装置で聴いても、彼女のヴァイオリンの音色の美しさと緊張感はひしひしと伝わり、それまで聴いていた、スターンやメニューイン、オイストラフが揺らいでしまうほどの衝撃があったのです。このレコードで、初めて聴いたB面の「シベコン」もすっかりと気に入りました。
その後もチョン・キョンファ熱は冷めず、新しく出るレコードはほとんど買う大ファンでそれはいまも続いています。
右側のジャケットは社会人になってから買ったDECCA盤です。このオリジナルの輸入盤は音質は良いものの、国内盤と比べると盤質がいま一つ良くありませんでした。
怪我で一時演奏活動を中止していたチョン・キョンファは昨年復活して、来年6月には日本でリサイタルを行うとのこと。オーケストラとの共演も魅力的ですが、ピアノ伴奏だけで彼女のヴァイオリンの音色を満喫するのも良いですね。
今度C&L Music から復刻される『愛の喜び -Con Amore』の発売が今から楽しみです。